学校の定期考査だと、授業内容をどのくらい理解できているかどうかを測ることはできますが、客観的に見た場合、自分の英語力はどのくらいなのかを測りたい場合に、活用できる試験として実用英語能力検定やTОEFL、TОEICなどがあります。同様に漢字力を測りたい場合には、日本漢字能力検定、簿記の技能を測りたい場合には簿記検定試験などがあります。これらの検定のことを技能審査といいます。
このような技能審査の成果に係る学修を自校の科目の履修とみなし、単位として認めることができる、というのがこの制度です。以前は、実用英語能力検定や簿記検定などの知識・技能審査に合格した場合のみ、単位認定が可能でしたが、2006(平成18)年度から、TОEFL、TОEICなどのように合格・不合格の区別のない知識・技能審査の成果に係る学修についても単位認定ができるようになりました。
ただし、単位として認められるためには、「高等学校において設けられている各教科・科目の学習内容に対応」しており、かつ「一定の要件を満たす知識・技能審査において相当程度の成果を収めた場合」という2つの要件を満たすことが必要です。
例えば、簿記検定試験2級に合格しても、学校に簿記の科目が設けられていない場合は、せっかく検定試験に合格してもこの制度を活用して単位認定をしてもらうことはできません。また、英語検定についても、比較的よく知られている実用英語能力検定やTОEFL、TОEIC以外にも、ケンブリッジ英語検定や国際連合公用語英語検定試験、みんなの外国語検定など様々な種類の検定がありますが、どの検定でも合格すれば単位認定の対象となるのではなく、あくまで、一定の要件を満たしたものだけがこの制度の対象となります。
単位認定の方法としては、各学校の判断により、その学修成果に対応する科目の一部又は全部の単位として認めたり、増加単位として認定したりすることができます。
ちなみに、広島みらい創生高等学校では、広島市教育委員会が示すガイドラインにそって、例えば、実用英語検定準2級に合格した場合は、コミュニケーション英語Ⅰ(英語コミュニケーションⅠ)に2単位分、2級に合格した場合は3単位分を増加単位とすることができます。同様に簿記実務検定3級に合格した場合は、簿記に1単位分、2級に合格した場合は2単位分を増加単位とすることができます。これ以外に、日本漢字能力検定、第二種電気工事士、情報処理検定なども該当する科目の増加単位とすることができます。
何も難しい検定試験で増加単位としなくても、卒業に必要な科目を履修し、単位をとっていった方が簡単ではないかと考えるのが普通ですが、この制度は、単位制の高等学校において、ある緊急事態が発生した場合に対応できる唯一の制度といえます。その緊急事態とは、年度当初に卒業に向けて履修計画を立て、学修してきたが、前期にいくつかの単位を修得できずに卒業単位が不足してしまったという場合などです。
この場合、卒業を1年遅らせるという決断をするのであれば何ら問題はありませんが、何とか当該年度に卒業したいという場合、残りの半年で前期に修得できなかった単位分を修得しなければなりません。通常、履修登録は年度当初に1年分をまとめて行うので、その場合は、前期に修得できなかった科目があるからといって、後期になってから新たな履修登録を行うことはできません。
そうした場合、後期から手続きを進めて唯一単位認定に結びつくのがこの制度です。しかし、実用英語検定にしても、日本漢字能力検定にしても、学校がこれらの学修を自校の科目の履修とみなし、増加単位として認める(もちろん卒業に必要な単位としても認める)としていなければ、当然のことですが、この制度を活用することはできません。
