広島みらい創生高等学校は、学校教育法第53条及び54条において定められている高等学校の全日制、定時制、通信制の3つの課程でいえば、定時制と通信制の2つの課程を併置した高等学校ですが、課程名は「フレキシブル課程」とし、定時制の課程は「フレキシブル課程 平日登校コース」、通信制の課程は「フレキシブル課程 通信教育コース」と表記しています。
このように1つの課程の中で、定時制の課程と通信制の2つの課程を表しているのは、広島みらい創生高等学校は、単に定時制の課程と通信制の課程を併置した学校ではなく、従来の定時制の課程、通信制の課程の枠組みに捉われない新しい学びのスタイルをつくっていくという広島県・広島市の強い思いが込められているためです。
なお、「フレキシブル課程」という法令等に定めのない課程名を使うことについては、法的には問題はありませんが、対外的な証明等に必要となる指導要録や調査書等の書類には、本来の定時制、通信制の課程名が記載されています。
また、広島みらい創生高等学校の学科はキャリアデザイン科(総合学科)ですが、このキャリアデザイン科という名称には、生徒一人一人が主体的に自らのキャリアデザインを設計し、設計したキャリアデザインに基づいて自由に教科・科目を選択していってほしいという強い願いが込められています。
広島みらい創生高等学校のカリキュラム・グランドデザインでは、生徒が描く将来のデザイン例として、テクノロジーデザイン(工業系)、ビジネスデザイン(商業系)、サービスデザイン(福祉系)、クリエイションデザイン(芸術系)の4つが示されています。(下図参照)

(出典:広島みらい創生高等学校のHPから引用)
なお、総合学科については、高等学校設置基準第5条で定められている3つの学科のうちの1つで、文部科学省が毎年行っている「学校基本調査」によると、令和4年度に公立の全日制の高等学校で総合学科を設置している学校は全国で308校ありますが、公立の定時制の課程の高等学校では全国で36校(全定併設除く)となっています。通信制の課程の高等学校については、この調査では、記載がないため詳細は不明ですが、公立高等学校では、おそらく広島みらい創生高等学校だけだと思われます。
それでは、広島みらい創生高等学校での新しい学びのスタイルとは具体的にはどのようなものでしょうか。次からそれらについて詳しく見ていきましょう。