それでは、現在在籍している学校で受けることができる(転学しなくても済む)支援はないのでしょうか?
このことに関して、令和5年8月31日に「中央教育審議会初等中等教育分科会 個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会」の中に設けられていた「高等学校教育の在り方ワーキンググループ」が「中間まとめ」を公表しました。
このワーキンググループは、「令和の日本型学校教育」の構築を目指して、これからの高等学校教育の在り方について検討してきましたが、生徒の多様な学習ニーズに応える柔軟で質の高い学びの実現に向けて、次のような提言をしています。
①不登校生徒が自宅等から高等学校の同時双方向型の遠隔授業を受講することや、現行制度では、文部科学大臣による学びの多様化学校(不登校特例校)としての指定を受けることで活用できるオンデマンド型の通信教育について、指定を受けなくても合計36単位の範囲内において可能とするための制度改正を行うこと。
②多くの学校において慣例として定められている授業時数の3分の2以上の出席などの要件を生徒が満たせなかった場合でも、学校が一人一人の実情に応じて柔軟に履修・修得を認めるように促すこと。
③ICTやオンラインなどの効果的な支援を進めていくために、体制・環境整備に向けた支援を行うとともに、モデルとなる優良事例を創出・発信すること。
④学びの多様化学校(不登校特例校)の設置が進むよう、設置者による申請の簡略化を促進すること。
⑤教育支援センターの機能強化や、学校内で安心して学ぶことのできる校内教育支援センターの設置を促進すること。
⑥中学校段階で不登校経験を有する生徒が、安心して高等学校に進学できるよう、自宅等での学習成果の成績への反映を促す制度改正や高等学校入学者選抜において、在籍する学校における出席の状況のみをもって不利益な扱いをしないよう実施者に配慮を促すこと。
これらの中で、①や②が実現すれば、全日制の課程の高等学校に入学したが、何らかの事情で学校へ登校することが難しくなった生徒でも、すぐに通信制の課程の高等学校への転学を考えなくても自校で卒業できる可能性が出てきます。