広島には「みらい」があるじゃん

~中学生、高校生、保護者、教員の広場~

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1-4 効果的な学びを実現するための工夫(ラーニングピラミッド)


 「がんばって勉強しているのに、なかなか覚えられない」、「せっかく覚えたと思ったのに、試験の時には忘れてしまっていた」など、今の勉強の進め方に悩んでいる人はいませんか?

 もっと効果的に勉強を進める方法はないのか?そのような悩みを解決するヒントとなるのが「ラーニングピラミッド」という概念です。

 「ラーニングピラミッド」は、学習方法と学習内容の定着率を視覚的に表したピラミッド型のモデルのことで、アメリカ国立訓練研究所(NTL)が発表しました。

 このモデルはピラミッドの上から下に行くにしたがって記憶に残る割合が高くなる、つまり、学習内容の定着率が高くなる学習方法を示しています。これによると、一番上にある「ただ人から話を聞いただけ」の時に記憶に残る割合はわずか5%ですが、一番下の「人に教えた」時には90%にも高まります。(注:ただし、数値については、科学的な根拠は明確に確認されていません)

 話を聞いたり、読書しただけの時には記憶に残る割合が低く、自ら体験したり、人に教えた時に割合が高くなるのはなぜでしょうか?

 それは、話を聞いたり、読書したりするだけの学習方法だと、情報や知識をインプットするだけの受け身的な学習になりがちですが、自ら体験したり、人に教えたりする学習方法だと、学んだことをアウトプットする能動的な学習になっているからです。インプットするだけの受け身的な学習では、話を聞いてついつい分かった気になってしまい、いざ試験を受けてみると全く分かっていなかったということになりがちです。しかし、アウトプットするという能動的な学習では、体験したり、教えたりする過程で、分かっている部分と分かっていない部分が明らかになるため、情報や知識の組み直しが進み、より深い記憶として定着しやすくなります(記憶の精緻化せいちか)。

 ただし、ここで注意しなければならないのは、インプットする学習が不要とか無意味ということではないということです。学習した内容を短くまとめ、他者に説明してみたり、視覚や聴覚的なインプットに続いて、学んだ内容をディスカッションやエッセイ形式で表現してみたりするなど、実際の学習においては、インプットとアウトプットのバランスを意識することが大切です。これらのプロセスを通じて、効果的な学びを実現することができるだけではなく、学びをさらに深化させることができます。

 中学生や高校生のみなさんは、効果的な学びを実現するためにどのような工夫をしていますか?そして、保護者や教員のみなさんは、我が子、生徒が効果的な学びを実現することができるようどのように支援していますか?

◎主に参考とした本:小林昭文『アクティブラーニング入門』産業能率大学出版部 2015年

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