私はこれまで広島県の公立高等学校で勤務し、全日制・定時制・通信制の高等学校を経験してきました。それぞれの高等学校には、それぞれの魅力があり、そこで学んでいる生徒たちは自分の夢の実現に向けて頑張っています。
しかし、「はじめに」でも述べましたが、ふとしたきっかけで、学力や人間関係に不安を感じ、それが学校生活への不適応につながり、結果として不登校や中途退学となっている生徒も少なからずいます。
そのような生徒が年々増加してきているのは、生徒個人の資質や性格などに問題があるからではなく、そのような多様な生徒に対応しきれなくなってきている既存の学校の仕組みにこそ問題があると思っています。
それぞれの学校が単独で多様な生徒を支えていくというのは限界にきている感があります。求められているのはパラダイムシフトではないでしょうか?
このコーナーでは、広島みらい創生高等学校を例にしながら、全日制の課程にはない、定時制の課程、通信制の課程の魅力を紹介するとともに、高等学校の課程・学科の違い、単位認定の仕組み、卒業要件など、知っているようで実はよく分かっていない様々な高等学校の情報を提供してきました。
そして、第6章では、多様な生徒を支えるための新しい仕組みについても提案をさせていただきました。
これらの情報が、将来の進路に悩んでいる中学生や、現在の高等学校が自分に合っていないと感じている高校生、そして、我が子の幸せを願い日々尽力されている保護者、生徒の成長を応援し日々奮闘されている教員の皆さんにとって、希望に満ちた未来への扉を開くためのヒントになれば幸いです。
今後、既存の学びの仕組みに捉われずに多様な生徒の学びに対応できる新しい仕組みが一つでも多くできることを願っています。そして、既存の高等学校の窮屈な仕組みの中でつらい思いをしなくてはならない生徒が一人でも少なくなることを願っています。
※広島みらい創生高等学校の取組については、次のHPの記事も参考にしてください。
文部科学省「マナビカエル 高校の学びを次の時代へ」
オーダーメイドの時間割で多様な生徒のニーズに対応。自信をつけて卒業に導く、広島市立広島みらい創生高等学校
(https://www.mext.go.jp/manabikaeru/interview/1486/)