広島みらい創生高等学校の通信教育コースでの学校生活はどのようでしょうか?
全日制の課程の高等学校の場合、学校生活の基本はホームルーム教室ですが、通信教育コースにおいては、生徒がスクーリングで登校する日や面接指導の時間割などが生徒ごとに違っているため、そもそもホームルーム教室がありません(平日登校コースについては、第4章の「平日登校コースでの学校生活」(4-5)を参照)。
生徒は、登校すると、自分が選択している科目等の面接指導が行われる教室に入ります。そして、次の時間は、また、別の教室へ移動し、自分が選択している科目等の面接指導を受けます。もし、その時間に自分の選択している科目等の面接指導がない場合は、自習をしたり、校外で時間を過ごしたりしています。
月曜日から金曜日まで登校するのが基本である平日登校コースでは、生徒ごとに個人用ロッカーが用意されていますが、2週間に一度のスクーリングが基本である通信教育コースの生徒には個人用ロッカーがありません(弁当などをロッカーに入れ忘れて帰宅した場合、2週間後に大変なことになっているのを防ぐため?)。そのため、生徒はその日に必要な教科書などをすべて自分の鞄に入れて持ち運んでいます。
通信教育コースでは、全日制の課程と違って、一日中、同じ教室で、同じクラスメイトと時間を過ごすということがないため、人間関係づくりが得意ではない(そして、それが気にならない)という生徒にはとてもよい環境だと思います。
もちろん、通信教育コースでは、友達がつくれないといっているわけではありません。同じ科目等を選択している場合には、登校する曜日が同じであれば、顔を合わすことが多いでしょうし、同じ面接指導を受けるのですから、添削指導の進み具合など共通する話題も多いに違いありません。
話しかけ、相手も話してみたいと思うなら、友達になれるかもしれません。逆に、話すのが苦手あるいは誰とも話したくないというのであれば、毎時間教室を移動し、その都度メンバーが変わる通信教育コースは適しているといえます。
このように、通信教育コースにおいては、ホームルームという概念が全日制の課程と比べて希薄ですが、高等学校学習指導要領では、通信制の課程では、ホームルーム活動を含めた特別活動に、卒業までに30単位時間以上出席しなければならないことになっています。
特別活動とは、「ホームルーム活動、生徒会活動、学校行事から構成され、それぞれ構成の異なる集団での活動を通して、生徒が学校生活を送る上での基盤となる力や社会で生きて働く力を育む活動」のことで、第1章の「卒業に必要な要件」(1-5)でも説明したとおり、この時間の成果は通知表では科目の評定のように数字で評価されないので、時にはあまり重視しない生徒もいますが、卒業要件に含まれる大切な教育活動の一つです。
このことについて、高等学校学習指導要領では、「通信制の課程では登校日数におのずと制限があるが、ホームルーム活動は集団教育の場として欠かすことのできないものである。特に通信制の課程における生徒は、年齢が多様であり、様々な職業に従事している。このような生徒が集まり交流を図ることは、人間形成の面からみて全日制の課程では味わうことのできない教育効果の高いものである。全日制・定時制の課程と同じような授業時数を確保することは難しいとはいえ、このような特別活動の重要性に鑑み、年間指導計画に基づき、卒業までに30単位時間以上指導する」ものとしています。
広島みらい創生高等学校においては、入学式や卒業式、文化祭などの学校行事は、通信教育コースと平日登校コースとが合同で開催していますが、全日制の課程の高等学校でよく見られる体育祭や修学旅行は実施していません。
文化祭の展示内容等の準備は主に10月・11月の「LHR(ロングホームルーム)」の時間を使って行っていますが、通信教育コースの場合、平日登校コースと違って、「LHR」は2週間に一度しかなく、また出席しているメンバーも毎回違う(当然、人数も違う)ので準備を進めるのが大変です。
しかし、これまでに、ステップラウンジやエントランスホールの飾りつけなどを通信教育コースの生徒全員で協力しながら製作してきました。生徒一人一人の個性は様々ですが、それらの個性が一つに集まってできる作品はとても輝きをもったものとなります。
第4章の「平日登校コースでの学校生活」(4―5)でも述べましたが、ともすれば全日制の課程の高等学校においては、他と違うことをすれば、浮いてしまうということでも、広島みらい創生高等学校(他の定時制・通信制の課程の高等学校も同様だと思います)においては、そもそも同じである必要がないため、無理をして周りと合わせようとしたり、背伸びをしたりする必要が全くありません。
通信教育コースでは、4年間で卒業を目指す場合、2週間に一度のスクーリングでよいため、原則として月曜日から金曜日まで毎日登校する平日登校コースよりも、さらに自分らしく、本来の自分のままの姿で学校生活を送っていくことができるといえるかもしれません。