4つ目が2修制での学習・卒業も可能となっていることです。
すでに、第1章の「卒業に必要な要件」(1-5)でも述べましたが、高等学校を卒業するためには、少なくとも3年の在籍と74単位以上の修得が必要です。
それでは、1年間ある全日制の課程の高等学校に在籍していた生徒が、何らかの事情で全く単位が修得できず、定時制の課程や通信制の課程の高等学校に転学した場合、この生徒は、卒業するまでに必要な在籍期間と単位数はいくらになるでしょうか?
正解は、在籍期間はすでに1年間あるので残りは2年間、単位数は全く修得できていないので74単位以上の修得が必要です。この生徒が、在籍していた全日制の課程の高等学校のクラスメートと同じ年に卒業したいと思った時、転学先の定時制の課程や通信制の課程の高等学校で、2年間で74単位を修得すればそれは可能となります。つまり、1年間に37単位ずつ修得できれば、2年間で74単位となります。
しかし、ほとんどの定時制の課程や通信制の課程の高等学校では、1年間に修得できる単位数の上限を30単位としています。1年間に修得できる単位数の上限については、法的に定めがないため、その理由は不明ですが、授業料の無償化にかかる高等学校等就学支援金制度で、定時制の課程・通信制の課程における年間の支給対象単位数が30単位までとされていることなどが関係していると推測されます。
広島みらい創生高等学校では、この30単位という上限を撤廃し、1年間に30単位を超えて修得することも可能です。ただ、後ほど説明するように、実際に1年間に30単位を超えて修得することはかなり難しいといえます。しかし、はじめからチャレンジすらできない環境と、チャレンジできる環境にいるのでは、学習に向かう生徒のモチベーションは違ってくると思われます。
この2修制は、新規に高等学校に入学し、3年目は1年間登校せずにボランティア活動に従事してみたいとか、海外に行って見聞を広めてみたいとか、図書館などで自分の好きな教科の勉強だけをしてみたいという生徒も、はじめの2年間で74単位を修得していれば、最後の1年間は在籍しているだけで、3年での卒業が可能となります。
もちろん、外国の高等学校(正規の後期中等教育機関)へ留学する場合には、第2章の「海外留学に係る単位認定」(2-2)でも説明したとおり、「36単位を限度として」単位認定することができるので、無理して2年間で74単位を修得するのではなく、「海外留学に係る単位認定」の制度も利用しながら卒業に必要な単位を積み上げていくことも可能です。
