高等学校卒業程度認定試験については、第1章の「卒業証書」(1-7)でも述べたように、この試験に合格するだけでは、高等学校の卒業資格を得ることはできませんが、高等学校に在籍していて、この試験に合格した場合、その科目を自校の科目の履修とみなして、単位の修得を認めることができる、というのがこの制度です。
ただし、単位認定の対象とする試験科目の範囲や認定方法等は、「各学校において適切に判断する」とされており、例えば、「生徒が現に高等学校において履修中の科目を対象とするか、高等学校卒業程度認定試験においてどのような評点での合格を要件とするか」など、具体的な範囲や認定方法は、学校ごとに決めることになっています。
高等学校卒業程度認定試験は、例年8月と11月の年2回試験が行われていますが、2024(令和6)年度は、第1回目が8月1日・2日、第2回目が11月2日・3日に実施されました。本章の「技能審査の成果の単位認定」(2-5)で、前期に単位が修得できなかったが、何とか当該年度に卒業したいという場合、後期から手続きを進めて唯一単位認定に結びつくのが技能審査の制度である、と述べました。高等学校卒業程度認定試験の第2回目は11月だから、後期からでも十分間に合うのではないかと思うかもしれませんが、第2回目の願書の受付期間は7月16日から9月6日となっています。
この制度による単位認定が認められている場合には、前期に授業に出ることができずに、前期の単位を修得できる見込みが少ないという場合は、とりあえず、高等学校卒業程度認定試験の願書を提出しておけば、第2回目の試験を受けることができますが、前期の成績が確定するのは通常、9月中旬以降となるため、それを待ってから出願するのでは間に合いません。これに対して、技能審査の実用英語検定試験は、年3回試験が行われ、個人で申し込みを行う場合は、2024(令和6)年度の第3回目の一次試験は2025(令和7)年1月26日で、申込期間は11月1日から12月16日となっていたため、前期の成績が確定した後に申し込みを行っても十分間に合います。
ちなみに、高等学校卒業程度認定試験は、何度でも受験することができ、問題は主として多肢選択による客観式の検査方法により出題され、マークシート方式で解答するようになっています。2023(令和5)年度に行われた2回の試験の受験者は合わせて16,813人で、合格者は7,932人(全体の47.2%)、一部科目合格者は7,250人(全体の43.1%)でした。つまり、1科目以上の合格者は90.3%で、問題は決して難しくなく、しっかり時間をかけて準備すれば十分合格できるレベルの試験です。
