広島には「みらい」があるじゃん

~中学生、高校生、保護者、教員の広場~

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1-7 卒業証書


 高等学校学習指導要領に定められている卒業の要件を満たせば、高等学校卒業資格の取得ということになり、卒業証書が授与じゅよされます。高等学校を卒業する(卒業予定も含む)ことで、大学入学試験へ出願したり、高卒求人きゅうじん票へ応募したりすることができるようになります。

 この高等学校卒業資格の取得ということについて、よく誤解されるのが、「高等学校卒業程度認定試験」いわゆる高卒認定とよばれる制度です。文部科学省が発行しているパンフレットには、「この試験は、いろいろな理由で高校等を卒業していない人のために、「高校を卒業した人と同等以上の学力があるかどうか」を文部科学省が認定する試験」で、高卒認定試験に合格すると、「大学・短大・専門学校の受験資格が得られます。就職や資格試験にも活用できます」と書かれています。

 この試験には、毎年約2万人が受験し、年間8千人程度が全科目(8~9科目)に合格しています。なお、18歳になる前にすべての科目に合格した場合には、18歳の誕生日から合格者となると定められています。

 合格が必要な科目は、国語、数学、外国語、地理歴史、公民、理科から8~9科目で、受験料は受験する科目数によって異なり、3科目以下4,500円,4~6科目6,500円,7~9科目 8,500円と定められています(令和6年度)。このことから、認定に必要な8~9科目を一度に受験する場合、受験料は8,500円となり、普通に3年間高等学校へ通うよりも、非常に安価にかつ簡単に高卒の資格が取れるように見えます。

 しかし、文部科学省のホームページには、このことについて、Q&Aの形で「合格者は高等学校を卒業した方と同等以上の学力があると認められますが、高等学校を卒業しなければ最終学歴は高等学校卒業とはなりません」と明記されています。つまり、高卒認定はあくまで「高校卒業と同程度の学力があることを認定する」だけであり、大学や専門学校の受験資格は取得できますが、実際に大学等に入学し卒業できなければ、最終学歴は「中卒」のままということになります。

 実際、この試験に合格すると、合格者には「合格証書」が授与されますが、この「合格証書」には、本籍ほんせき、氏名、生年月日に続き、「上記の者は高等学校卒業認定試験規則による認定試験に合格したことを証する」と書かれ、授与年月日、文部科学省名の後に公印こういんが押されているだけで、どこにも「卒業」という文言はありません。これに対して、高等学校の卒業証書には、広島県の場合は、通し番号、卒業証書、学科名、氏名、生年月日に続き、「右の者は本校において頭書の課程を修了したことを証する」と書かれ、授与年月日、授与する高等学校名、校長名の後に校印こういんが押されています。卒業証書の様式は、その学校の設置者が定めているため、記載事項の順番は各都道府県等によって若干じゃっかんの違いがあるかもしれませんが、書かれている内容はほぼ同様です。

 ここで、「あれっ?」と思った人はいませんか。実は、卒業証書には、卒業した学校名、学科名等については書かれていますが、課程名については「頭書とうしょの課程を修了したことを証する」と書かれているだけで、「全日制」「定時制」「通信制」の名称の記載はありません。つまり、広島みらい創生高等学校の例でいえば、広島みらい創生高等学校には、定時制と通信制の二つの課程がありますが、どちらの課程の卒業証書も文言はまったく同じで、卒業証書を見ただけでは、どちらの課程を卒業したのかは分かりません。

 高等学校卒業の資格は、全日制の課程の高等学校を卒業しようが、定時制や通信制の課程の高等学校を卒業しようが、「高卒資格においてはどこを卒業しても同じ」なので、あえて書く必要がないため、卒業証書に書かれていないのかもしれません。

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