ここで、卒業に必要な要件についてもう少し詳しく見ておきたいと思います。
高等学校学習指導要領においては、「学校においては、卒業までに修得させる単位数を定め、校長は、当該単位数を修得した者で、特別活動の成果がその目標からみて満足できると認められるものについて、高等学校の全課程の修了を認定するものとする」と定められています。「修得」とは、 各教科・科目又は総合的な探究の時間を「履修」し、満足できる成果をあげることです。つまり、授業に出席していれば「履修」は認められるかもしれませんが、授業態度や提出物、試験の結果などが満足と認められなければ、単位を「修得」したと認められないということです。
また、ここで「特別活動」が出てきますが、これは始業式や終業式、文化祭、ロングホームルームの時間などが該当します。これらの時間の成果は、通知表では、科目の評定のように5段階あるいは10段階といった数字としては評価されないので、始業式やロングホームルームなどには出席しなくても大丈夫だろうと考える生徒もいるかも知れませんが、これらの学校行事やホームルーム活動に出席しないでいると、成果が満足できると認められずに、卒業できなくなる可能性もあるので注意が必要です。
そして、卒業までに修得させる単位数についても74単位以上としていますが、これは、各学校で卒業に必要な修得単位数を具体的に規定するに当たって、74単位を下ってはならないという最低必要要件を定めたものであり、「学校が74単位を上回る単位数を定めることは可能」であるとしています。
したがって、ある高等学校で、毎週月曜日から金曜日まで毎日50分の授業(ロングホームルームを除く)を6時間受け、1年間で30時間の単位を修得し、3年間で90単位の修得を卒業要件としている場合に、高等学校学習指導要領において、74単位で卒業できるとなっているのだから、90単位のうち16単位分は「修得」できなかったとしても、74単位は「修得」したのだから卒業できるというわけではありません。
このことについて、高等学校学習指導要領では、「修得した単位数が74単位に達したからといって、生徒が卒業認定を要求し得る根拠とはならない。学校において、卒業に必要な単位を、74単位を超えたある単位数以上と定めた場合、生徒はそれを満たさなければならないし、また、特別活動についてその成果が目標に照らして満足できるという要件も満たしていなければならないのである」と明記しています。
これらの要件に加えて、少なくとも3年の在籍は必要となってきます。
