せっかく高等学校に入学したけれど、どうも今の高等学校が自分に合っていないと悩んでいる高校生もいるのではないでしょうか?
もしかしたら、別の高等学校への転入学・編入学を考えている人もいるかもしれません。
それでは、広島県内の定時制の課程・通信制の課程の公立高等学校の転入学者選抜・編入学者選抜の募集定員はどうなっているのでしょうか。
ここでは、広島みらい創生高等学校の平日登校コース(定時制の課程)・通信教育コース(通信制の課程)と東高等学校(通信制の課程)について見ていきます。
両校の転入学・編入学の募集要項を見ると、募集定員は「欠員数」と記載されています。欠員とは、定員に満たないことで、例えば、240人の募集定員の高等学校で、一次選抜と二次選抜の合計で220人しか入学者がいなかった場合、定員に満たなかった20人(=240人ー220人)が欠員(数)となります。
それでは、両校の転入学・編入学の募集要項に記されている「欠員数」とはいったい何人なのでしょうか?令和6年度入試のデータから考えてみましょう。
令和6年度 広島県公立高等学校 入学者選抜結果

(出典:広島県教育委員会HP(令和6年度広島県公立高等学校入学者選抜)データをもとに作成。)
上の表中の「定員(A)」や「秋季入学の定員(D)」は広島県教育委員会のHPにデータとして公表されますが、「一次選抜での入学者数(B)」や「二次選抜での入学者数(C)」、「欠員数(転入学・編入学の定員)」は教育委員会のHPや学校のHPなどにはデータとしては公表されません。
しかし、「一次選抜での入学者数(B)」は、教育委員会のHPや学校のHPに公表される「二次選抜の定員」から分かります。それはなぜかというと、「二次選抜の定員」=「定員(A)」ー「一次選抜での入学者数(B)」で算出されることになっているからです。
令和6年度の広島みらい創生高等学校の二次選抜での定員は、定時制の課程6人、通信制の課程231人となっていました。ということは、定時制の課程の場合、240人の定員に対し234人(=240人ー6人)が、通信制の課程の場合は400人の定員に対し169人(=400人ー231人)が、一次選抜後に入学手続きを行ったということになります。
次に、「二次選抜での入学者数(C)」は、「二次選抜の志願者数」や「秋季入学の定員(D)」からの類推となります。広島みらい創生高等学校の「秋季入学の定員(D)」は「定員(A)」の外数として定時制の課程は6人、通信制の課程は30人の枠がありますが、「定員(A)」まで入学者がいなかった場合は、その欠員数も加えた数が「秋季入学の定員(D)」となります。
令和6年度の広島みらい創生高等学校の「秋季入学の定員(D)」は定時制の課程6人、通信制の課程101人となっていました。「二次選抜の志願者数」は定時制の課程34人、通信制の課程52人でした。このことから、定時制の課程では、34人のうち合格した6人が二次選抜後に入学手続きを行ったと推測されます。そうすると、定時制の課程の令和6年度の転入学・編入学者用の欠員はなかったのではないか(0人)と思われます。
通信制の課程の場合は、本来30人の定員のところが101人となっていることから、「定員(A)」の欠員71人がプラスされて101人になったと推測されます。そうすると、「二次選抜の志願者」52人が全員合格し入学手続きを行ったとすると、「欠員数(転入学・編入学の定員)」は400人ー169人ー52人=179人となります。ただし、この179人は二次選抜の志願者52人が全員入学手続きを行った場合で、入学手続きをした者が少なかった場合はもっと増えることになります。つまりこの179という数字は、少なくとも179人の枠があったという数字で、実際の「欠員数」はかなり幅のある数字になりますが、ただ「欠員数」と言われるよりもイメージしやすい数字になるのではないかと思います。ちなみに、この179人から「定員(A)」の欠員71人を引くと、このときの転入学者選抜・編入学者選抜での入学者数は108人だったことが推測されます。
ただし、この欠員数は、あくまで1年次相当の場合ですので、前籍校である程度単位をとって、2年次あるいは3年次に転入学・編入学するのであれば、それ以前の年度の入試データを見る必要があります。この場合、その年次に退学者や転学者などが出ている場合は、その数も「欠員数」となっていくので、実際の欠員数はこれまでの計算式で算出されるよりも、もっと多くなる可能性もあります。
これに対して、東高等学校は、他の高等学校と違って一次選抜、二次選抜の日程で入試が行われない(独自入試を行う)ため、受検者数などが一切公表されません。公表されるのは、「定員(A)」と「秋季入学の定員(D)」のみです。東高等学校の「定員(A)」は「秋季入学の定員(D)」を含んで300人(4月入学の定員270人、10月入学の定員30人)です。ちなみに、このように定員(300人)に含まれた形で表記された数(30人)を、広島みらい創生高等学校のときの外数という言い方に対して内数といいます。
令和6年度の「秋季入学の定員(D)」は170人で、本来の30人よりも140人多くなっています。このことから、新規入学・転入学・編入学を含めて4月入学の手続きを行ったのは130人(=270人ー140人)ということが分かります。
東高等学校の場合、広島みらい創生高等学校のように転入学・編入学の「欠員数」をある程度まで絞り込むことはできませんが、少なくとも東高等学校における転入学・編入学での「欠員数」は少なくとも140人あったことは間違いないということになります。
いやいや知りたいのは、自分が転入学者選抜(または編入学者選抜)を受けるときの「欠員数」で、過去のデータではないといわれるかもしませんが、残念ながら、選抜を受ける時点での欠員数をあらかじめ知ることはできません。
しかし、何年か分の過去のデータを見る限りでは、募集要項に記された「転入学・編入学用の欠員数」が、ここで算出した数に比べて極端に多くなったり、少なくなったりすることはないようです。ただし、言うまでもなく、このことが、これからも必ず一定程度の転入学・編入学用の欠員(数)があるということを保証するものではありません。